英文解釈のルールその3

問い3、次の英文を和訳してください。知らない単語は辞書で調べてもOKです。
Each day, each of us must make a series of small decisions. These decisions determine the direction in which our lives will move. No one, irrespective of how wise, how highly principled or experienced, can make the right decision every time. To err or fail is no disgrace. The disgrace lies in not learning from our mistakes, not recovering from our defeats, not getting up to try again.

 さて、今回の英文は英語を読むときに強力な武器になるコツを知ってもらうためのものを選びました。何だったかおわかりでしょうか?解説の中でしっかり確認してもらいたいと思います。英文を正確に読めるようになるには、英文法の知識は欠かせないものだと、常々言ってきました。では、その英文法の知識を蓄える最善の方法は何でしょうか?英文法の参考書には役に立つ知識がたくさん載っています。しかし、それをただ丸暗記しても、実際の英文解釈や文法問題では使うことはできません。また、そのような参考書を眺めていてもとても退屈です。実践的で使える英文法の知識を蓄える最善の方法は、たくさんの英文を着実に読み、たくさんの文法問題を解くことです。そして一度理解した知識を定着させるために、何度も反復学習することです。

【ここまでやるか!スゴイ解説】

第一文目からじっくり読んでいきましょう。

Each day, each of us must make a series of small decisions.

さて、よりによってまずは動詞を確認しましょう。そして動詞の数も同時に確認します。動詞は
must makeで、この文中にはこれ以外に動詞はありません。makeは基本的な単語ですが、makeが動詞として用いられた場合は注意が必要です。makeは第3文型、第4文型、第5文型を取れる動詞で、どの文型であるかによって英文の解釈の仕方は変わってきます。では、この英文の場合は第何文型であるのかを確認しましょう。

主語(S)は、動詞の前にある名詞ですので、
each of us です。
主語を単語でひとつだけ選ぶとなれば、もちろん
eachです。しかし、of useachを修飾する前置詞句(品詞は代名詞であるeachを修飾しているので、形容詞です)
ですので、まとめて
each of usで主語と考えているのです。
目的語(O)は、動詞の後ろにある名詞ですので、
a series of small decisionsとなります。
これも目的語をひとつだけ選ぶとなると、
decisionsという名詞なのですが、a series of smallはどちらも形容詞でa series of 〜は、「一連の〜」というふうに〜の部分である名詞を修飾(具体化)するいわば形容詞としての役割をしています。
ですので
decisionsを修飾する語句をまとめて一つの名詞とみなし、全体で目的語として考えているのです。
ここまでの話をビジュアルに書いてみますと、

(Each day,)
(S)each of us
(V)must make
(O)a series of small decisions.

となります。ですので、第3文型です。
each day(それぞれの日→毎日)は名詞ではありません。よって主語にはできません。どうして名詞ではないのかと言いますと、時を表す名詞は副詞として扱うという決まりがあるからです。このように一見単語の品詞は名詞でも、副詞として扱わなければならないものがあります。品詞を取り違えると、英文を正しく解釈できませんので、この知識はとても重要になります。ここまでの重要ポイントをまとめてみましょう。

<単語の品詞は名詞でも副詞として扱う語句>
@時、回数を表す名詞(重要)
a long time(長い間),all night(一晩中), last year(去年), these days(最近),
this morning(今朝),the day after tomorrow(明後日), the day before yesterday(一昨日)
three times (3回)
A距離や方向を表す名詞
three miles(3マイル), your way(あなたの方へ)
B方法を表す名詞
this way (こんなふうに)
他にも程度や様態を表すものもあるが、単語の意味自体が副詞的なものなので、
出てくるたびに確認してください。

eachの語法>
@形容詞の
each each単数名詞:each (それぞれの〜)全体で単数名詞として扱う。
A代名詞の
each each of (the)複数名詞each of the (それぞれの〜)全体で単数名詞として扱う。
B副詞の
each(副詞は通常be動詞の後、一般動詞の前に起きます)
@とAは難関大学の文法問題でよく狙われますので注意してください。

では、英文に戻り、意味を解釈してみましょう。
この文はそれほど難しくないですね。
(Each day,)
(S)each of us
(V)must make
(O)a series of small decisions.

毎日、
(S)私たち(おのおの)は、
(O)一連の小さな決定を
(V)しなければならない。

「私たちは毎日、一連の小さな決定をしなければならない。」
こういうふうに解釈できていればいいでしょう。


では、次の文です。

These decisions determine the direction in which our lives will move.

動詞は
determinewill moveで、2つあります。ですので、接続詞or関係代名詞が一つ必要になります。その接続詞or関係代名詞はwhichです。whichには接続詞としての用法は無く、関係代名詞or疑問詞としての用法のみになります。この文章には動詞が2つありますので、whichは関係代名詞としての用法が正しいということになります。よく見ると、このwhichには直前にinという前置詞がついています。いわゆる<前置詞+関係代名詞>というものです。<前置詞+関係代名詞>の解釈を苦手とする受験生の方は多いのではないかと思います。この前置詞は関係代名詞節の導く文の終わりに置くこともできたことを思い出してください。

つまり、書き換えると次のようになります。

These decisions determine the direction
                    <in which our lives will move.


These decisions determine the direction
                    <which our lives will move in.

どうでしょうか?
このように、前置詞+関係代名詞は関係代名詞節の終わりに前置詞を戻してやることで、より英文を解釈しやすくなることを覚えておいてください。

These decisions determine the direction
                    <
which our lives will move in.
which節>
which節は必ず形容詞節で、その節内の文は不完全(名詞が欠落)な形になっている。

この文の場合文末の
inの後ろに、このinとセットになる名詞(前置詞の目的語)が欠落しています。その名詞は関係代名詞のwhichであり、すなわち、先行詞のthe directionのことです。

まずは、
These decisions determine the direction までを解釈してみましょう。主語はthese decision、目的語はthe directionなのは大丈夫ですか。
「これらの決定はその方向を決定する」と解釈できますね。

では
the direction(その方向)とは何なのかという説明が、後ろの関係代名詞節(which 〜)で説明されているのです。which以下を読んでみましょう。
which our lives will move in
動詞は
move、主語はour lives(注:liveslifeの複数形で名詞です)、目的語は欠落していますね。「私たちの人生が動く」と解釈できます。よって「その方向(the direction)」とは「私たちの人生が動く(方向)」だということがわかりました。

全体をまとめて解釈してみましょう。
「これらの決定は私たちの人生が動く方向を決定する」
「人生が動く」というのは何か不自然ですね。
moveは<事柄>が主語のときは、「<事柄>が進行する」と解釈できましたので、「人生が進む」でいいのではないでしょうか。

最終的に、
「これらの決定は私たちの人生が進む方向を決定する」とできれば良いでしょう。

ここで、一つ役に立つマメ知識をまとめます。

<予告の
the
普通書き言葉では、何も説明も無いのに
theのつく名詞は出てきません。これは裏を返せば、初めて見る名詞にtheがついていれば、その名詞は具体的には何であるのかということが、どこかで説明されているということです。この文章の場合、the directionは後ろのwhich節で説明されていますね。このように初めて出てくる名詞にtheがついていれば、後ろから関係代名詞節で修飾されていることがよくあります。このような名詞に付くtheを「予告のthe」といいます。


では次の文に移りましょう。

No one, irrespective of how wise, how highly principled or experienced, can make the right decision every time.

少し文が長くなると、文全体の構造が見えにくくなります。ですので、しっかりと文の要素を見つけてやることが大切です。

動詞は
can make、主語はNo one、目的語はthe right decisionです。これはいいでしょうか。文の要素はこれだけです。まずは、これだけで考えてみましょう。
No one can make the right decision.
「誰も正しい決定をすることはできない」
というふうに、非常にすっきり文の意味が解釈できますね。文が長ければ、要素だけを取り出してそれだけでまず解釈してみてください。すると文章の骨格がすっきり見えます。

残るは修飾語句です。ビジュアルに見てみましょう。
(S)No one,
irrespective of how wise,
          
how highly principled
                   
or
                  
experienced,
(V)can make
(O)the right decision (every time).
every timeは「いつも」という副詞です。

<>の部分に注目してください。
irrespective of 〜は「〜と関係無く」という慣用句です。同じような意味の語句にregardless of 〜というものもあります。では「〜」の内容を見てみましょう。これは2つあり、途中がcomma(,)で区切られています。1つ目が、how wiseで、もう一つがhow highly principled or experienced ですね。つなげて解釈しますと、
「どんなに賢く、またどんなに高潔で経験豊かであるかと関係無く」
となります。
principledは形容詞で「道徳をわきまえた」という意味です。

この英文には英語のよくあるクセが出ています。
それは、
irrespective of how wise,
         
how highly principled
                 
or
                
experienced,
の部分です。どうして縦に並べて書いてあるのかおわかりでしょうか?それは「
how+形容詞」の形が連続しているのを確認してもらいたかったからです。このように英語では、同じ形(同じ品詞の並び方)が連続することがよくあります。そういう場合、似たような内容の連続になっています。ですので、how wiseが「どんなに賢く」と解釈できたのであれば、how highly principled or experiencedも同じような内容であるということが分かるはずです。このような英語のクセを見抜くことができれば、単語のわからない箇所があったとしても、論理的に推測できます。あてずっぽうではない推測ができるわけです。

文全体をまとめて意味をとりますと、
「どんなに賢く、またどんなに高潔で経験豊かであっても、いつも正しい決定をすることはできない。」となります。


それでは次です。

To err or fail is no disgrace.

動詞は
is、主語はto err or fail(不定詞の名詞用法)、補語はno disgraceですね。
よって第二文型です。第二文型の解釈方法は決まっていましたね。「SはCである」と解釈すればOKでした。しかし、この文には
noがありますので、
「SはCではない」という具合に否定的に解釈してやりましょう。
すると、
「間違いや失敗をすることは、恥じることではない」となります。
disgraceは少し難しい単語だったと思いますが、単語には接頭語や接尾語や語根というものがあります。これを知っていると未知の単語の意味を論理的に類推できます。disgraceですと、dis(否定)grace(上品、長所)というふうに解釈できますので、「下品」あるいは「短所」というように少なくとも「否定的な」単語であることは推測できます。


さて、長い長い解説もいよいよ終盤戦です。これが最後の文になります。

The disgrace lies in not learning from our mistakes, not recovering from our defeats, not getting up to try again.

まずは動詞を探します。動詞は
lies一つです。lieは自動詞ですので、残りの文の要素は主語だけになり、それはthe disgraceですね。The disgrace lies in …で「恥じるべきことは…にある」と言っているわけです。ここでも、先ほど説明しました「同じ形の反復」が絶大な威力を発揮します。ビジュアルに見てみましょう。

(S)The disgrace
(V)lies
    <
in not learning from our mistakes,
       
not recovering from our defeats,
       
not getting up to try again.

どうでしょうか?<>の中に注目してください。
not doing という形が3回連続していますね。

in @not learning from our mistakes,
  A
not recovering from our defeats,
  B
not getting up to try again.

では順に見ていきましょう。
@は、「私たちの間違いから学ばないこと」
Aは、「私たちの負けから立ち直らないこと」
Bは、「立ち上がり再び挑戦しようとしないこと」
このように解釈することができます。

全体を通してみますと、
「恥じるべきことは、間違いから学ばないこと、敗北から立ち直らないこと、立ち上がり再び挑戦しようとしないことである。」
となります。

今回の解説の冒頭で私は、「英文は英語を読むときに強力な武器になるコツを知ってもらうためのものを選んだ」と言いましたが、それは「同じ形の反復」のことでした。長く解釈しづらい英文でも、これを知っていると全体の構造がすっきり見えます。みなさんがこれから英文を読まれるときに是非意識してみてください。

それでは、最後に全体を通しての参考和訳を出しておきます。その後、まとめに移りましょう。

<参考和訳>
「毎日、私たちはみなそれぞれ一連の小さな決定をしなければならない。これらの決定により私たち人生の進む方向が決まっている。どんなに賢く、またどんなに高潔で経験豊かであっても、いつも正しい決定をすることはできない。間違いや失敗を犯すことは、決して恥じることではない。恥じるべきことは、間違いから学ばないこと、敗北から立ち直らないこと、立ち上がり再び挑戦しようとしないことなのである。」

【まとめ】

<単語の品詞は名詞でも副詞として扱う語句>
@時、回数を表す名詞(重要)
a long time(長い間),all night(一晩中), last year(去年), these days(最近),
this morning(今朝),the day after tomorrow(明後日), the day before yesterday(一昨日)
three times (3回)
A距離や方向を表す名詞
three miles(3マイル), your way(あなたの方へ)
B方法を表す名詞
this way (こんなふうに)
eachの語法>
@形容詞の
each each単数名詞:each (それぞれの〜)全体で単数名詞として扱う。
A代名詞の
each each of (the)複数名詞each of the (それぞれの〜)全体で単数名詞として扱う。
B副詞の
each(副詞は通常be動詞の後、一般動詞の前に起きます)
@とAは難関大学の文法問題でよく狙われますので注意してください
<前置詞+関係代名詞>は関係代名詞節の終わりに前置詞を戻してやることで、より英文を解釈しやすくなる。
which節>
which節は形容詞節で、その節内の文は不完全(名詞が欠落)な形。
<予告のthe
普通書き言葉では、何も説明も無いのに
theのつく名詞は出てきません。これは裏を返せば、初めて見る名詞にtheがついていれば、その名詞は具体的には何であるのかということが、どこかで説明されているということです。この文章の場合、the directionは後ろのwhich節で説明されていますね。このように初めて出てくる名詞にtheがついていれば、後ろから関係代名詞節で修飾されていることがよくあります。このような名詞に付くtheを「予告のthe」といいます。
文が長ければ、まずは要素だけを取り出して解釈してみる。
英語では、同じ形(同じ品詞の並び方)が反復することがよくあります。そういう場合、似たような内容の反復になっている。このことを意識して英文を読むと、英文の構造がすばやく見抜けるようになる。
単語には接頭語や接尾語や語根というものがあります。これを知っていると未知の単語の意味を論理的に類推

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管理人 
Daizoo

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